Story

西京屋 周
遠山 周作
服部栄養専門学校を卒業後、懐石料理店や割烹料理店で修業し、懐石料理の技術を習得。2020年5月には、料亭の技術とこだわりを詰め込んだ美味しい料理を幅広い人々に届けたいという想いから、「西京屋 周」のキッチンカーを開業しました。食に対する強い思いを胸に、「食を通して人を幸せにしたい」という信念でキッチンカーを経営しています。

株式会社 Rootfor
高野 峻太朗
ドイツの照明デザイナーに憧れ、インテリアデザインの専門学校へ進学。全国の名建築・インテリアデザインを1年間見て廻る旅の中で、 五感で人を感動させることができる空間デザインを仕事とすることを決意。デザイン事務所・広告制作会社・大手内装会社を経て、2019年にRootforを設立。想いをクリエイティブでカタチにするために、日々活動しています。
東京各地に出店し、上質な和食弁当を提供するキッチンカー「西京屋 周(さいきょうや しゅう)」。料亭仕込みの“西京焼き”をベースに、オフィス街のランチタイムを彩るこのお弁当は、どうやって生まれたのか。オーナーシェフの遠山周作さんに、そのルーツやこだわり、今後の展望についてお話をうかがいました。
01
料理を 始めた きっかけは 「本物の 味」に 出会った こと

高野:まずは自己紹介をお願いします。
遠山:こんにちは。西京屋 周の遠山周作です。料理を始めたきっかけは、幼いころ母が美味しいお店にたくさん連れていってくれたこと。ある時、回転寿司で食べたマグロと、カウンター寿司で出てきた赤身のマグロの味の違いに感動し、「こんなにも違うのか」と強烈な印象を受けたんです。それから“美味しいものを作りたい、食べたい”という気持ちがずっと心にありました。
16歳で料理の道に入り、服部栄養専門学校で調理師免許を取得。その後は銀座、赤坂、湯島などの日本料理店や懐石料理の名店で修行を積んできました。


02
店名 「西京屋 周」に 込めた 思い

高野:「西京屋 周」という名前には、どんな意味が込められているのでしょうか?
遠山:「周」というのは僕の名前“周作”から取ったものなんですが、同時に「周囲の人とつながる」「人とのご縁を大切にする」という意味も込めています。
「西京屋」は、料亭時代に学んだ“西京漬け”のレシピを活かした西京焼きを中心にしたお店ということで名付けました。僕の強みは和食なので、その技術を活かしつつ、より多くの人に美味しさを届けたい──そんな想いからこの名前にしました。


03
和食弁当の キッチンカーを 始めた 理由

高野:なぜ、和食弁当のキッチンカーを始めようと思ったのですか?
遠山:都内のキッチンカーを見て回った時に「和食が少ない」と感じたのがきっかけです。僕の強みは和食ですし、せっかくなら自分にしか出せない味を届けたいと思ったんです。
さらに、キッチンカーは「買ってから食べるまでに時間がある」ことが多い。例えば、お昼に買ってオフィスに戻ってから食べるまでに10~15分くらい空きますよね。その点、西京漬けは時間が経っても美味しく、冷めてもふっくら柔らかい。味噌の酵素のおかげで、焼き上がりもジューシーですし、食中毒リスクも減らせます。まさに、弁当との相性が抜群なんです。

04
デザインリニューアルで 売上3倍以上に

高野:弊社「Rootfor」に依頼いただいたきっかけを教えてください。
遠山:最初は手作り感満載で、ラミネートしたメニューを窓に貼ったり、フロントガラスにペタペタ貼ったりしていました。でもやっぱりお客さんの足が止まらない。
そんな時、Rootforさんが他のキッチンカーのデザインをしているのを見て、「これだ!」と思って依頼しました。実際にデザインしてもらった看板やメニューのおかげで、以前は1日30食程度だったのが、80~100食に。まさに足を止める“きっかけ”になったと思います。



05
西京焼き弁当の 人気の 理由

高野:西京焼き弁当の特徴や、人気の理由は?
遠山:まず、冷めても美味しいという点が大きな特徴です。味噌漬けにすることで余計な水分が抜け、魚がふっくら柔らかく仕上がります。さらに、菌の繁殖リスクが低くなるので、安心して提供できる点も魅力ですね。
他にはない“和食のキッチンカー”という珍しさもあり、特に女性や年配の方にご好評いただいています。最近では唐揚げ弁当も取り入れて、20~30代の男性層も取り込めるようになりました。



06
実は 苦労も 多かった キッチンカーの 立ち上げ

高野:始めた当初、苦労したことはありましたか?
遠山:ネットに書いてある情報って、実際には使えないものが多いんですよね。例えば、キッチンカーの買い方や、どんな設備を入れればいいか、保健所の対応はどうするのか──そういったことは現場でしか分からない。
僕の場合はリースで始めたのでかなりスムーズでしたが、自分で一から準備する人にはかなりハードルが高いと思います。キッチンカー業界って意外と閉鎖的で、教えてくれる人も少ないですしね。

07
成功の 秘訣は 「現場の 声を 聞いて、 すぐ 改善」

高野:ここまで販売数が伸びた理由は何だと思いますか?
遠山:一番大きいのは、現場でお客さんの反応を直接見られることですね。「このメニュー出してみよう」「こう並べてみよう」と試して、反応が良ければ続ける、ダメならすぐやめる。トライアンドエラーを徹底しました。
例えば、唐揚げ弁当を“フタが閉まらないほど盛る”という見せ方。これが思いのほか反響が良くて、周りの人も「何あれ!?」と興味を持ってくれるんです。結果的に、宣伝効果にもつながっています。

08
将来の 展望──全国・海外へ、 そして FC展開へ

高野:今後の展望について教えてください。
遠山:いずれはキッチンカーの台数を増やしていきたいと思っています。ただ、それには「誰でも再現できる仕組み」が必要。以前は“自分にしかできない味”を追求していたけれど、今は“誰でも同じクオリティで出せる仕組み”に移行してきました。
将来的には、仕込みを本部で行い、真空パックや冷凍で配送し、各地のスタッフが温めて販売できるような仕組みにしたい。それができれば、FC(フランチャイズ)展開も見えてくるし、ゆくゆくは全国、さらには海外にも展開したいと思っています。


09
最後に ──全力の 接客と、 次の 挑戦

高野:サービス面や今後の新メニューについては?
遠山:サービス面では、「100人目でも1人目の気持ちで接客」を心がけています。お客様にとっては“初めての自分”ですからね。だからこそ、常に全力の接客をしたいと思っています。
新メニューとしては、神戸名物の「ぼっかけ丼(牛すじとこんにゃくの煮込み)」を、今後ラインナップに加えていきたいと考えています。これからも、ちょっと驚きがあって、でも誰にでも愛されるようなメニューを増やしていきたいですね。

「西京屋 周」の挑戦は、まだ始まったばかり。和食の魅力を、東京から全国へ──これからの展開がますます楽しみです。