飲食店のデザインで重要な視線の配慮
飲食店を設計する際、デザインの美しさや機能性だけでなく、
「視線の配慮」が大きなポイントになります。
お客様が店内に入った瞬間に目にする景色、座席に着いたときにどこを見渡すのか、
こういった「視線の流れ」が心地よい空間作りには欠かせません。
この記事では、飲食店のデザインにおける視線の重要性について詳しく見ていきます。
視線の流れが生む心地よさ
飲食店に入ると、まず目に飛び込むのはエントランスから見える部分ですよね。
ここでの視線の誘導が、最初の印象を決めると言っても過言ではありません。
視線が自然にカウンターやメニュー、もしくは目立たせたいディスプレイに
流れるようなデザインが理想です。
逆に、視線が雑然としたエリアに向かってしまうと、お客様は落ち着かない印象を受けます。
店内全体の視線の流れをデザインすることは、ただおしゃれに見せるだけでなく、
居心地の良さにもつながる大事な要素なんです。
プライバシーを守るための工夫
視線の配慮でよく考えられるのは、お客様の居心地の良さをどう配慮するかという点です。
特にカフェやレストランでは、隣のお客様と目が合ってしまうような
座席配置だとリラックスできません。
仕切りを設けたり、背の高い植物、家具の配置を工夫したりすることで、
視線が交差しないようにすることが重要です。
例えば、ブース席や植物を使った仕切りを設けることで、隣同士の視線が遮られ、
周りを気にせずに食事を楽しめる空間が作れます。また、座席の配置を斜めにするなど、
小さな工夫で視線の交錯を避けることができ、結果的にお客様の満足度がアップするのです。
見せる場所、隠す場所
また、店内で「見せる場所」と「隠す場所」を明確にすることも、
視線のコントロールにおいて大切なポイントです。
たとえば、厨房の一部をオープンにして調理の様子を見せることは、
ライブ感を演出する効果があります。
しかし、すべてが見えてしまうと清潔感や整然とした印象が損なわれる可能性があります。
だからこそ、見せる部分と隠す部分をうまくバランスよくデザインすることが求められます。
また、トイレや収納スペースなどは、お客様の視界に入らないように配慮することが大切です。
視線の流れをコントロールすることで、お店の空間がより心地よく、そして使いやすくなるのです。
小さな工夫で大きな効果
飲食店のデザインで、視線の配慮がもたらす効果は計り知れません。
特に、視線の誘導を意識したデザインは、目立たない部分でお客様の満足度に直結します。
たとえば、照明の配置ひとつをとっても、視線を自然に引きつけたい部分に光を当て、
逆に見せたくない場所には影を作るような工夫が効果的です。
視線の流れを意識しないと、結果的に無駄なスペースが生まれたり、
居心地の悪い空間ができてしまうこともあります。
細かい部分ですが、視線をどこに向けさせるか、どこを見せたいのかを考え抜いたデザインは、
店舗の印象を大きく左右します。
まとめ
飲食店のデザインにおける「視線の配慮」は、空間の美しさや、
使い勝手を大きく左右する重要な要素です。
お客様がどこを見て、どのように感じるかを意識しながらデザインを練り上げることで、
居心地の良い空間が生まれます。視線の流れをコントロールすることで、
お店全体がまとまりのある、落ち着いた空間に仕上がるのです。
視線の配慮を取り入れたデザインで、お客様に「また来たい!」と思わせるような、
特別な体験を提供していきましょう。
投稿者プロフィール
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ドイツの照明デザイナーであるインゴ・マウラー氏に憧れ、
インテリアデザインの専門学校へ進学。
日本全国の名建築・インテリアデザインを1年間見て廻る旅の中で、
五感で人を感動させることができる空間デザインを仕事とすることを決意。
アトリエ系デザイン事務所・広告制作会社・大手内装デザイン会社を経て、
2019年にRootforを設立。
幅広い業種のブランディング・デザインをお手伝いしてきた実績をもとに、
中小零細企業専門のクリエイティブパートナーとして、日々活動しています。
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