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マツダのデザイン戦略

1920年創業の、日本を代表する自動車メーカーの1つであるマツダ。

 

魂動デザインをはじめとする美しいデザインの車作りに個人的にも大変注目しています。

 

デザインやプロダクトに高い評価がある同社のデザイン戦略は、どのようなものなのか

 

気になった3つのポイントをまとめてみました。

 

日本で初めてのCI(コーポレート・アイデンティティ)導入

 

 

日本で初めてCIを本格的に導入したのは、1975年のマツダ(当時の東洋工業)からで、

 

5年の歳月をかけて開発されたそうです。

 

CIとは企業が掲げてきたビジョンや事業内容、また企業の社会的責任 (CSR) 等に基づいて

 

自らの存在価値を体系的に整理し、改めて定めた理念やそれに基づく行動指針を企業内外で共有する

 

ことによって、より良い企業活動を行っていこうとするもの。

 

CIはシンボルマークやロゴを作ることという一般的なイメージが多いと思いますが、

 

本来の意味は企業と社会とをコミュニケーションでつなぐ企業戦略のひとつです。

 

 

1990年代から一般的にも広く知られるようになり様々な企業がCIを導入したことを考えるとマツダの

 

デザイン戦略の先見性はかなり時代を先取りしていたことが分かります。

 

その後は 2000年頃を境に登場した「 ブランディング 」という戦略概念がその役割を引き継ぐ形で

 

現在に至っています。

 

マツダのデザイン哲学

 

 

前田育男氏が2009年にデザイン部門トップに就任してからマツダのデザインに対するアプローチが

 

大きく変わっていきました。

 

それまでのフォード時代ではデザイン部門のトップが交代するたびにデザインの軸が変わり

 

短絡的なデザインにならざるを得なかった同社。マツダを再生するにはブランドを束ねて見せ、

 

長期にわたってしっかりアピールすることが大切だという戦略に舵を切りました。

 

 

具体的には個別車種ごとのデザインを改め、全車統一という思い切ったデザイン戦略を採用。

 

車種全体を統一するということは、一貫性のあるデザイン群をつくりブランドとしての強力な

 

メッセージを発信することにつながりますが、失敗すれば企業の経営を根底から揺るがす事態

 

にもなりかねません。

 

 

デザインチームの労力とプレッシャーは想像を絶するものだったのではないでしょうか。

 

 

前田氏はマツダの歴代の車に立ち戻り、デザインの根底に流れる美意識とは何かを徹底的に探ったと

 

いいいます。

 

美しいデザインの車は骨格がしっかりしているという点に着目し、マツダの「人馬一体」というコンセ

 

プトにもつながっていきます。

 

また、自然界にも溶け込むようなフォルムを意識し、美しいカタチを追求していきました。

 

これらが2010年からのデザインテーマ「魂動デザイン-魂と命の動き」につながっていきます。

 

 

2%戦略

 

 

すべての人に受け入れられる必要はない。

 

世界市場の2%に共感してもらえれば良い

 

 

これらの言葉はマツダが打ち出した2%戦略と呼ばれるものを端的かつ的確に表現しています。

 

ターゲットを絞ると販売台数が下がり売り上げが落ちるというイメージもありますが、

 

モノが行き渡り、市場が成熟した社会においては大変有効な戦略だと感じます。

 

多くの人に支持してもらう必要はなく、個性をはっきりとさせることにより、

 

少数だがマツダを熱烈に支持する人々に狙いを定める。

 

このようにしてマツダのブランド戦略は着実に構築されていきました。

 

 

 

企業のデザイン戦略をさかのぼり、どのようにして現在に至るかをあらためて調べることは、

 

有意義かつとても興味深いものでした。少しでも皆様の参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

投稿者プロフィール

高野 峻太朗
ドイツの照明デザイナーに憧れ、インテリアデザインの専門学校へ進学。
全国の名建築・インテリアデザインを1年間見て廻る旅の中で、
五感で人を感動させることができる空間デザインを仕事とすることを決意。

デザイン事務所・広告制作会社・大手内装会社を経て、2019年にRootforを設立。

想いをクリエイティブでカタチにするために、日々活動しています。

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