地方旅館のためのブランディング入門──小さな宿こそ発信すべき魅力とは

観光地の大型ホテルや有名チェーン旅館と競合する中で、「地方の小さな旅館」が選ばれる理由は何でしょうか?
それは、大きな施設にはない“人と土地の温もり”や、“唯一無二の体験”にあります。そして、その魅力を伝えるために欠かせないのがブランディングとWebサイトです。
本記事では、地方旅館が自らの強みを見つけ、適切に発信するためのブランディングの考え方と、Webを活用した施策についてご紹介します。
小さな宿に秘められた可能性
地方の旅館には、「特別な設備」や「豪華な演出」がなくても、宿主の人柄、地元の文化、自然の風景、季節の料理といった唯一無二の体験価値が存在します。
しかし、これらの魅力は「実際に泊まらなければわからない」と思われがちです。だからこそ、言語化し、視覚化し、伝える力=ブランディングが重要です。
「自分たちの宿がどう見られたいのか?」「どんな体験を届けたいのか?」を明確にし、その軸に基づいてロゴ・写真・文章・Webサイトのデザインを統一していくことで、“記憶に残る宿”へと変わっていきます。

ブランディングの第一歩は「らしさ」を見つけること
ブランディングと聞くと「おしゃれなロゴ」や「プロの写真撮影」を想像しがちですが、最初のステップはもっと素朴です。
たとえば、以下のような問いに答えてみてください。
- この宿は、どんな気持ちでお客様を迎えているのか?
- 他の宿にはない、ここならではの風景・料理・習慣は?
- どんなお客様に来てほしいと思っているのか?
こうした“宿の哲学”ともいえる内面を掘り下げることが、他にはない「らしさ=ブランドの核」になります。

Webサイトは、体験の“予告編”
地方旅館の集客において、Webサイトの役割はますます重要になっています。旅行者の多くが、スマホで宿を比較しながら予約を決める時代。
つまり、Webサイトは宿泊体験の入口であり、宿の第一印象を決める場所です。
大切なのは、「価格」や「プラン内容」以上に、“どんな体験ができるのか”を直感的に伝えること。
トップページに静かな山の風景や、薪の音が聞こえてきそうな囲炉裏の写真があるだけで、「ああ、ここは静かに過ごせそう」とイメージが湧きます。
また、旅館のスタッフ紹介や料理人の想いなどを伝えるページがあると、「人」で選ばれる宿にもなります。

ブランドは、長く続く“信用”になる
一度きりの宿泊で終わるのではなく、「また訪れたい」「誰かに紹介したい」と思ってもらうには、継続的な発信=ブランドの育成が必要です。
SNSやブログ、メールマガジンを使って、日々の季節の変化や宿の日常を伝えることも、ブランドの一部。地道な発信が、信頼と共感を積み上げていきます。
まとめ:小さな宿こそ、物語がある
地方旅館のブランディングとは、単なる見た目の演出ではなく、宿の“物語”を見つけて伝えることです。
大きな予算がなくても、想いがあれば魅力は伝わります。
「あなたの宿にしかない価値」は、必ずあります。
Rootforでは、その価値を言語化し、ビジュアルに落とし込み、Webで届けるブランディングも得意としています。
まずは、小さな一歩から。宿の“らしさ”を、一緒に育てていきませんか?
投稿者プロフィール

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ドイツの照明デザイナーであるインゴ・マウラー氏に憧れ、
インテリアデザインの専門学校へ進学。
日本全国の名建築・インテリアデザインを1年間見て廻る旅の中で、
五感で人を感動させることができる空間デザインを仕事とすることを決意。
アトリエ系デザイン事務所・広告制作会社・大手内装デザイン会社を経て、
2019年にRootforを設立。
幅広い業種のブランディング・デザインをお手伝いしてきた実績をもとに、
中小零細企業専門のクリエイティブパートナーとして、日々活動しています。
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